「ブラジルと言えば攻撃のイメージがあるかも知れないが、彼らが強い本当の理由はそのディフェンス能力の高さだ」
ブラジルサッカーを評価する人はこう言います。


「失点を抑える」これが現代サッカー戦術の中で最も太い幹となっています。


サッカーのポジションはその時代に主流となる戦術と共に変化を続けています。
「どうすれば確実に勝てるのか」戦術の発展はこの課題を追求してきた歴史とも言えます。


今回は主にディフェンシブなポジションである「リベロ」「アンカー」についてその役割を戦術の隆盛と交えてまとめてみます!

【スポンサードリンク】


現代サッカーにおいて化石化した「リベロ」



リベロとはイタリア語で「自由な人」という意味があります。
戦術上最も自由なプレーを許され求められたポジション「リベロ」
古くはベッケンバウアー、そしてその代名詞とも言えるイタリアのF.バレーシ。数々の名選手がこのリベロとしてプレーしました。

リベロは「味方のピンチを救い、味方のチャンスの起点となる」のが役割



リベロはディフェンダーです。
90年代中頃までのディフェンスのフォーメーションは、前に3人とその後ろの位置に1人を置く逆三角形の形をした4人というスタイルが主流でした。リベロはこの後ろの位置に置かれる1人の選手です。


当時のディフェンスは「マンツーマンディフェンス」が基本で、前の3人のディフェンダーにはそれぞれ対峙する相手選手がいましたが、リベロだけはマンツーマンの相手がいない状態にしてディフェンス3人の背後を取られた際のカバーリングディフェンスをするという狙いがありました。


また、マンツーマンの相手がいないという特性故に比較的にフリーの状態でボールを受ける事も多く、チャンスと見るやスルスルと攻撃に加わる事もリベロには求められていました。
「味方のピンチを救い、味方のチャンスの起点となる」これこそがリベロのプレーであり、ディフェンダーでありながらスター選手が生まれやすいポジションでもあった所以です。

ゾーンディフェンス戦術の中で存在しなくなったリベロ



スター選手も多かったリベロは、サッカーの戦術が「マンツーマンディフェンス」から「ゾーンディフェンス」へと変化していくと共にフォーメーションの中から消えていきます。


「ゾーンディフェンス」とは人に対してマークするのではなく、相手の攻撃エリアのスペースを潰してしまうという戦術です。
この場合、ディフェンダーのポジショニングは横一列となりラインコントロールをする事で相手のプレーエリアを潰すことに大きな意味があります。
すると必然的にディフェンスラインの後ろにいたリベロは戦術上不要となってきました。


裏を返せば、現代の戦術において、全てのディフェンダーにリベロ的なカバーリングや攻撃参加が求められているとも言えます。

【スポンサードリンク】


ディフェンシブな戦いで重要な役割「アンカー」



アンカーは英語で錨(いかり)を意味する言葉です。味方ミッドフィールドの底に重りをかけて安定させる。そんなイメージを持つポジションがアンカーです。

アンカーは「ボランチ」では無い



「ボランチ」も同じようなプレーエリアで主に守備面でのプレーを求められますが、ゲームメーカーとして攻撃の起点になる事も重要で、ゾーンディフェンス主流の現代サッカーでは攻撃エリアのスペースがほとんど潰されてしまっている為、攻撃の起点をより自陣側でする必要があり「ボランチ」のゲームメーカーとしての役割はどんどん大きくなってきています。


一方アンカーもプレーエリアはミッドフィールドのディフェンシブエリアではありますが、そのミッションはあくまで「味方ディフェンダーとミッドフィールダーの間」のスペースを埋めて相手の攻撃を自由にさせない事。であると言えます。


ここで挙げた「味方ディフェンダーとミッドフィールダーの間」のスペース。現代サッカーではこのエリアを如何に上手く突いて攻撃するかが非常に重要です。それはゾーンディフェンスの穴とも言うべきぽっかり空いたスペースが出来やすいからです。このスペースをしっかりと潰し相手に攻撃の機会を与えない事がアンカーの役割です。

アンカーはポジションではなく「戦術」



アンカーの役割を改めて考えてみると、アンカーという言葉はそのポジションだけを意味するのでは無く、戦術的役割を意味するとも言えるかも知れません。


印象的なのは2010年南アフリカW杯での日本代表チームの戦い方です。


当時の岡田JAPANは見事決勝トーナメントに進出し本田選手や遠藤選手のゴールシーンを記憶されている方も多いと思いますが、あの大会の影のキーマンは全試合でアンカーの役割を担った阿部選手だと思っています。


南アフリカW杯の岡田JAPANの戦い方は一部から「超消極的サッカー」と揶揄されていました。「負けない為のサッカー」とでも言いましょうか、非常に守備的でリスクを取らないサッカーでした。
そのチームの中でアンカーが戦術的理由で必要となり、その役割をきっちりとこなしたのが阿部選手です。
ちなみにあの大会での日本は4試合で失点わずか2(うち1点はPK)でした。

まとめ

今回は「リベロ」と「アンカー」というサッカーの戦術の変遷と共にこの2つのポジションがどの様に求められてきたかについてまとめてみました。


サッカー戦術はどんどんリスクを取らない方向に変わっていっています。「より勝ちにこだわる」というよりも「より負けないことにこだわる」と言ってもいいかも知れません。


見る側の我々としては派手なゴールシーンや素晴らしいコンビネーションプレーなどに目が行きがちですが、こうした縁の下の力持ち的なポジションやプレーヤーに注目するのも面白いと思います。
今回のまとめがそのきっかけになればとても嬉しいです。

【スポンサードリンク】