誰でも恐らく一度は見聞きしたことのあるフレーズ「肝に銘じる」。日常であまり使わない表現ゆえに、正しい使い方を知らない人は多いのではないでしょうか。
そしてもう1つ問題なのが、「銘じる」と「命じる」どちらが正しいかと言うこと。「命じる」は知っていても「銘じる」は聞いたことが無いと言う人もいるかも知れません。

使用頻度が低く、しかも誤用を生じさせてしまう「肝に銘じる」。日本人ですら日本語は難しいと言ってしまう1つの例でしょう。

ここでは「肝に銘じる」の意味と使い方、および「命じる」は誤りなのかについて説明していきます。

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そもそも「肝に銘じる」とはどんな意味か

まず初歩的な疑問として、「肝に銘じる」とはどんな意味なのでしょうか。

『強く心に留め、けっして忘れないようにすること』(weblio辞書)

意味としてはいたってシンプルです。
「肝」とは御存じ肝臓のこと。「肝心要」と言う言葉もあるように、内臓の中で心臓と同じ
く重要な器官。「肝となる部分」と言えば「重要な部分」の意味になります。

似たような言葉に「銘記する」「心得る」「心に刻む」などがあります。

次いで「銘じる」とは「心に刻む」こと。深く刻んで絶対に忘れない、と言う意味合いです。

つまり「肝に銘じる」とは、大事な事柄を心臓・肝臓どちらにも刻み込む勢いで覚えておくこと、と解釈できる訳です。

「肝に命じる」は誤用なのか

「めいじる」と聞いた場合、たいていの人は「命じる」を思い浮かべるでしょう。これは「銘じる」があまり馴染みのないためだと思われます。ですが、「肝に命じる」と言う使い方は間違いです。

まず「銘」と言う漢字。これは「心に刻み込んでいる戒めなどの言葉」(goo辞書)と言う意味を持ちます。すなわち銘じるとはその動詞形、「心に刻み込む」こと。

次に「命じる」ですが、言うまでもなくこれは「命令する」の意味。

ですから、「肝に命じる」としたのでは、物事を肝臓に命令する、となってしまい不自然です。肝(心)臓に忘れるなよと命令する、との解釈も成り立つように思えますが、やはり「深く刻み込む」と言うニュアンスを含んでいないため、「肝に命じる」は正しくないのです。

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肝に銘じるを使える場面

ではここで、実際の使用例に当てはめてみましょう。

「私がまだ駆け出しの営業マンだったころ、ある大きなミスを犯してしまった。
その日、私は初の一人での営業先回りを終えて心身ともにクタクタだった。仕事を任せられるようになったと言う嬉しさももちろんあったが、それ以上に疲労困憊していた私は、帰宅するや否や、すぐさまベッドに倒れ込んだのだった。翌日も、朝から営業先に訪問することになっている。余りに疲れていた私は、風呂にも入らずそのまま眠ってしまった。 
翌朝、目を覚ました私が時計を見ると、12時を回っていた。
マズイ! やっちまった!
今日の訪問先へは11時に伺う予定。まさかの1時間オーバー。完全に遅刻。手元の携帯には、取引先と上司からの着信履歴が。
髪もとかさず家を飛び出した私はすぐさま営業先へ。当然、担当者はご立腹。上司もその場に居り、私はただただ上司と頭を下げるばかりだった。
自分のミスがいかに重大だったかを知った私はそれ以来、何があっても時間は守ろうと、肝に銘じたのだった。

使用例から分かるように、「肝に銘じる」を使う場合、それは自身に対する戒め(自戒)と言う意味が込められています。絶対に忘れてはならない事柄について述べる時に、この表現を使うと良いでしょう。

まとめ

普段見聞きする言葉でも、意味を正しく理解していない場合は多いです。「肝に銘じる」1つとっても
「肝」=「肝臓」=「重要な部分」
「銘じる」=「心に刻みつける」
「銘じる」であって「命じる」は誤り
「肝に銘じる」を使うことによって、忘れてはいけない度合が強くなる

知るべき情報はこれだけあるのです。
普段使わない言葉だからこそ、一度言葉の持つ意味に意識を向けることが大切です。それこそ「肝に銘じ」ておく必要があると言えるでしょう。

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